毎年夏休みまっただ中に、「お盆の帰省ラッシュが始まりました!」などとニュースで良く見かけますよね。
その通り、「お盆の時期は、8月に決まっているじゃないか!?」と思う方がほとんどだと思いますが、
お盆の時期は実は3パターンあって、地域によっては違う日程で行事があることをご存知でしょうか?
今回は、お盆の起源やなぜ色んな日程があるのかなどについてお話したいと思います。
お盆の時期3パターンとその地域は…
明治6年に、新暦が導入され、それまでの暦を旧暦と呼ぶようになりました。
主な行事ごとは旧暦でしていましたが、新暦に移行する際に、政策として新暦の同じ暦に移行することになりました。この過程の中で、お盆は旧暦の7/15を中心とした日程であったため、
新歴と旧暦の日程の差が生じて、地域によってお盆の日程に違いができてしまったということです。
具体的には以下の通りです。
その1、7/13~7/15(7/13~7/16とする場合もある)
これは、旧暦の日程をそのままにしているものです。「新盆」とも呼ばれます。
地域としては、南関東、多摩地区をのぞく東京、函館、金沢の旧市街地など。
2018年もそのままの7月での日程となります。
その2、8/20ごろなど、旧暦の扱いなので日程がずれる。
「旧盆」と呼ばれ、旧暦の7/15は新暦に直すと8/20ごろになるからです。
地域としては、沖縄がこれにあたります。
2018年は沖縄では8/23~8/25となります。
その3、8/13~8/15(8/13~8/16とする場合もある)
「月遅れの盆」と呼ばれ、その1の日程だと当時の日本人は農業が忙しい時期であったため、
1カ月遅らせることにしたとされています。
これが現在の、一般的なお盆の期間になっています。したがって2018年も同じ日程となります。
お盆の起源のお話
お盆の起源はとても古く、紀元前400年ごろとされています。
お釈迦様の弟子(目蓮)が、自分の亡くなったお母さんが餓鬼道に落ちて逆さにつるし上げられているのを知って、
救いたいと思い、何とかならないものかとお釈迦様に教えを求めました。
そのときの教えとして、心をこめて母親の供養をするように、
修行をした僧侶を7月15日に集めて施しをしたのがお盆の始まりとなりました。
実は、古代インドのサンスクリット語である「ウランバナ」を語源とする「盂蘭盆会」とは、
「逆さづり」という意味で、お釈迦様の弟子のエピソードから名前が付いたものであります。
その「盂蘭盆会」を省略して、日本では「お盆」と呼ぶようになったのです。
日本でお盆が始まったのはいつ?
では、日本でお盆が始まったのはいつでしょうか?
日本では606年に推古天皇の時代に、「斎会」という名前で、僧侶を集めて食事や仏教の行事を行い、
先祖の霊を迎えたことがお盆の始まりです。
さらにここから平安時代になると、宮中行事としてお盆が行われるようになって定着したとされています。
庶民の間でも定着するようになったのはもう少し後の江戸時代になってからです。
江戸時代には、庶民の間にも仏壇や提灯が広まって毎年の行事となり、
この時期に「藪入り」といって、奉公人や嫁いだ嫁も休みを取ったり実家に帰ったりしたとされています。
日本人の「先祖は供養するもの」という習慣と、この「藪入り」が合わさって、
現在でも続く「お盆」の形になっていったというわけです。
ですので、8/13を「迎え盆」といって先祖の霊を家に迎える準備の日とし、
8/15(または8/16)を「送り盆」といい先祖の霊があの世へ帰る日としています。
まとめ
①お盆の時期の捉え方は3パターンあり、地域によって差がある。
・7/13~7/15(7/16):南関東、東京の一部
・8/20:沖縄
・8/13~8/15(8/16):その他のほとんどの地域
②お盆の起源は、お釈迦様の弟子が母親の供養をしたエピソードにある。
古代インドのサンスクリット語である「ウランバナ」を「盂蘭盆会」と書き、
それを省略して「お盆」と呼ばれるようになった。
③日本では、推古天皇の時代にお盆の行事のようなものが始まり、
宮中など上流階級から定着し、庶民に広まったのは江戸時代である。
亡くなった先祖の霊を供養したり、実家に親戚で集まったりするのは、今も昔も変わらないんですね。
そこに暦の変化が加わったことで、お盆の日程に違いが出たというわけです。
亡くなった先祖を忍ぶことで先祖が喜んでくれるのはもちろん、
今を生きる私たちのこれからを見つめる良い機会にもなるものなので、
お盆って素敵な行事なんだなぁと改めて感じますね。
日程やしきたりも大切ですが、私たちの心の持ち方を、一番大切にしていきたいものですね。